こんにちは。中瀬一菜です。
今日は休職中のその人本人ではなく、周りの人について思うところをお話したいと思います。
周りの人間が迷惑する説
わたくし公務員でして、この手の話題からはちょっと縁遠い制度の下、休職をしております。かなり出来上がった制度なのですよ。
- 互助会だか共済だかが雇うカウンセラーによる無料の相談を定期的に受けられる
- 病気休暇・病気休職中のお金の問題も一切無し、即生活苦にならない
- 管理職やカウンセラーからの退職圧力は一切無い(ただし休職期間満了による退職はもちろんある)
所属側…わたしが元気だったころのお仕事はどうなっているのか?というと、これはちゃんと管理職側が考えてくれていて、他の係に回ったり、直属の上司が多めに抱えてくれたり、同じ係の中で割り振られていたり…としているようです。
もともと、わたしひとりで抱えるには多すぎる量だったんで、新年度の事務分掌考える時点で最初っから割り振っておけよちゃんと仕事しろ感は否めない。
いくら公官庁とはいえ、簡単に人員補充ができるご時世ではないので…わたしの席は物理的にも空席のままになっています。
わたしの場合こんな状況なのですが、お休みをするようになって同僚から「お前マジ迷惑だからさっさと退職してくんね???」的な圧力はありませんでした。むしろ、「休ませることになってごめんな」的なメッセージが届きます。本音がどうかは置いといて。
…というようにわたしの場合はこんななので、ぶっちゃけ、「周りが迷惑するからさっさと辞めろ」という意見があるのは知ってるけど、都市伝説的な感じでまっさかーと思ってたんですが、ちゃんと?実在するみたいですね。
これは、うつ病の中でも「新型うつ」に関するものですが…Googleの検索キーワードで出てくる出てくる…ヤベー臭いしかしない… 新型うつって確かにいろいろ言われていますが、別にこういう議論って新型うつに限った話ではない。
休んで、席が空いて、仕事が増えて、迷惑する。これは同じこと。新型うつは、仕事以外では元気だったりするから、特にそう思うんでしょう。
休む人間にとっての退職は実質死刑
我々、病気で仕事を休まざるを得ない人間に対して、治療と将来への不安以外にも、こんな障害が本当にあったとは… この世は地獄って思っても仕方がない感ある。
病気(精神的にも肉体的にも)で休まざる得ない場合、色々と問題がありますよね。
- 自分の抱えていた仕事はどうなるんだ
- 家族を養うための収入源はどうするんだ
- 病気は本当に治るのか
- 仮に病気が治った後、会社に自分の席は残っているのか などなど…
こういう諸問題、休む前から当然に全部分かってます。
分かっていても、今のままでは自分が壊れてしまうと思うから、人生を総合的に考えて仕事<自分と判断したから、仕方がなく休職するものだと思います。一部のズル休みする連中は除外して。
そして、退職ではなく、休職と判断をしています。
そりゃ、性別・年齢・職歴諸々問わずに、誰でもちゃっちゃと労働条件ピュアホワイトな企業に再就職できる社会で、無職の期間中も心配いらないくらい十分なお金が入る社会保障が完備されてるんだったら、まぁ病気治るまではゆっくり過ごそうかなと思って退職だって選択肢に入るでしょう。
ですが、不況と言われ続けてウン十年、好況と言われてもさっぱりぽん実感できない今のご時世ですから、退職はできるだけしたくありません。
特にお金の心配って本当に苦しいです。辛いです。震えるくらい怖いです。泣きたくなるくらい惨めです。そういう問題を抱えて、闘病できるでしょうか…?
病気になって休まざるを得ない人間にとって、退職の選択は実質的に死刑に近いモノがあるように思います。
外野が簡単に退職しろって言うな恥を知れ
こんな状態なのに、やっぱり、人って想像力が大事なんだなって思うんですが、「迷惑だから退職しろ」って言う勢がいるんですよね。話は冒頭に戻りますが…
ガールズちゃんねるとか、知恵袋とか、その辺では結構言われているみたい。(お休み中の方、お休みを希望している方、興味本位でも見ない方が良いです。お休みするかどうかは、貴方様の気持ち一つでお決めになることだとわたしは思っております。)
- 休んでる人の分、仕事が増えた
- 休んでいる人のSNSを見てみると、元気そうでムカつく
- 休んでるのに会社から給料をもらうのがあり得ない
だいたいこんな感じ…?
実際のコメントの引用はあえて避けますが、かなりの割合で上記のようなニュアンスの意見が占めていました。1,2割ではなかったな。
しかし、私は思います。
外野が簡単に退職しろって言うな恥を知れって。
周りに迷惑がかかることくらい、休職を考える人なら分かっているはずです。
というか、そもそも働けるなら働きたいはずですから、めちゃくちゃ苦しいはずです。人間には本来、労働欲というものが備わっていますから、働かずにいること自体苦痛なのです。それでも、お金の問題やらなんやらに散々考えまくった結果、会社に籍を残してまた戻ってくることに決めるんです。
いや、そもそも「辞めろ」と言われることも覚悟の上という方が多いのではないでしょうか。Google検索キーワードにすら出てくるんですから、嫌でも目に留まりますし。
どれだけの思いであえて休職の決断をしたのか、外野の皆さんは想像して言ってるんでしょうか?
というか、分かっていて休職するならなおさら悪いですか?
人間、いろんなコミュニティに属していて、いろんな側面を持ち合わせるものですが、そのなかの一つに「会社」があると思います。
その「会社」を含めて属するすべてのコミュニティ・その中で自分が担う役割(家族というコニュニティだったら子供や配偶者を養うとか)を考え、天秤にかけた結果、(上記で言ったような休職後の周囲の反応諸々をさらに考慮してもなお)その人が重きを置きたいと思ったのが「会社」ではなかった。だから休職を選んだ。――この判断の方針自体が、悪いと言えるでしょうか?
また、お休み中に遊んでいることを否定したい勢もいるようですが、それについては過去の記事でまとめてありますので省略します… 病気=ベッドで寝てろ論は、職場復帰の観点から無理があると思います。
同じく、お休み中のお金が会社側から出ることに関しては、過去の記事にまとめた通りですので(制度の保障されてるんだよ、相互扶助だよってお話)ここではお話しません。
SNSでは元気そうだの、会社から働きもしないで金を貰ってるだの、物事の上っ面だけを見て口を開いている外野の方がどれだけ考えなしか。
というか、SNSで見たっていう枕詞に、恐怖を感じます。そこまで追いかける意図って何…???
声を上げるべき対象の人間を見誤るな
休職した人のお仕事については、確かに色々と大変なのは当り前ですよね。そりゃ休んだからと言って仕事がなくなるわけが無いし…
でも、休んだ人のせいで仕事が増えたといいますが、その仕事を振り分けるのは誰かというと管理職とかそういうお偉いさんじゃないんでしょうか…? だいたいの会社では自分で自分の仕事を決められないと思いますが…
それに、「仕事を原因とするうつ病で休職した人」の仕事で困っているなら、そもそもの職員をうつ病にさせたあたりも、管理職やお偉いさん何してんねん!って話になりるような気がします。職員の健康管理を怠るとは何事じゃ!って。職員の中には「仕事を原因とするうつ病で休職した人」の仕事で困っている自分自身も含まれるわけで、言ってしまえば明日はわが身かもしれないし。特に、近年は一定規模の事業所にはストレスチェックが義務付けられていますし。
日本人あるあるというか、こういう言うて行く先が違う問題、よくある気がします。なんかしらんけど被害者側を責めてる図。痴漢被害の女性側を責める的なアレ。
傍から見ればおもろいコントやな~ですが、関係者からすればヤバすぎる構図です。
声を上げるべき対象の人間を見誤らないでほしい。
誰が自分を苦しめてるのか、因果関係をちゃんと見極めてほしい。
ということでわたし的に思うのは、「休職した人間」の仕事を押し付けられて困っている、その文句の行き先は休んでいる本人ではない。そういう仕事を振り分けた上司や管理職に言ってください。…行く勇気がないから「休職した人間」に行っている、なんてことはないでしょうけど。
いや、もしかして、まさか「休職するなら~」をガス抜きの一環として言っているなら、日頃の思うところがあるなら上司・違法な労働化環境なら労基などのしかるべき所へ言うべきです。なおさら言うて行く所が違う。
せやけど休職できてることには感謝やで
ということで、色々と言わせていただきましたが、わたし自身が休職中ということもあって全体的に休職中の人を擁護?するような内容ではありますが、とはいえ休職できていること自体にはめちゃくちゃ感謝せないかんと思っています。
こんなん制度で決まってるんやから当たり前!では、そりゃ制度のお話なのでいろいろな規則はその通りだけど、人間の気持ち的にはそうはならないものです…規則なのね了解~とはならない。人間、そんなうまく出来てません。
そりゃ、自分が汗水たらして働いて手取り20万か~せつない~!ってなってるよこで、休職してるけど20万近くもらえたわ~!制度で決まってるから当然よな~!言われたら、誰だってクッソ~~~~!!!!!マジふざけんなテメェ!!!!!!ってなるものです。きっと、わたしだってなる。制度はもちろん理解してるけど、それに気持ちがついてくるかというと、別問題。
我々、休んでいる側は、せめてありがたい事だなと思うことが必要ではないでしょうか…
いや、もしかしたら、わたしのこの感覚は、ちょっと古いのかもしれません… 確かに制度上認められたお休みですから、正々堂々していればいいんですけど。
でも、「何事もありがたいと思えば幸せになる」というのは真理だと思いますので、幸福感を感じる術としてそっと推したいところです。
こういう意見を見かけるたびに、忙しさに殺されて余裕がない姿が透けているような気がします。
忙殺も忙殺、毎日ボロ雑巾の気分でヘットヘト…一方で休職している同僚がいる…SNSで見かけたらなんか知らんけど楽しそう…みたいなのを想像しちゃう。どっちがしんどいでしょう選手権は不毛も不毛、何のためにもならない。ただ、全員がしんどいだけ。誰も良い方向に向いて行かないと思うの。
「病気で休職するくらいなら退職しろよ」なんて言ってほしくないし、そう言うような輩のいる余裕のない社会であってほしくないなぁなんて。
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書いた人 中瀬一菜(なかせ・ひいな)
うつ病が原因で退職した元公務員。未婚・アラサー・障害者。
うつ病があっても自立した生活を送るために日々奮闘中。
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